6話〜父親と子供{改}
ブラットは部屋で、明日の準備をしていた。
(親父が英雄王で、母さんが魔族って……。なんかまだよくのみこめてないけど、これは夢じゃなくて、現実なんだよなぁ)
そう思いながら、旅に必要な物を、バッグに入れていた。
(それで、俺は自分の運命と、世界の運命を元に戻す為、旅に出なければならない。……やっぱ、まだ実感がわかないなぁ)
そう考えていると、ガルドが部屋の中に入ってきて、ブラットの前まで来ると、
「ブラット。少し話をしたいんだが」
「どうしたんだ親父。改まって話って?」
「お前、本当にいいのか?」
「何が?」
「お前なぁ。まぁいい。俺は、お前が旅に出る事を認めたくねぇ。お前には普通に生きて欲しかった。お前の母親も、それを望んでいたと思う」
「確かに、俺だって不安だけど。でもこれは、俺にしか出来ない事だし、やるしかないと思う」
「そうだな。だが、無理だけはするな。話は変わるが。さっき城から使いがきて、皇帝に呼ばれた」
ガルドはポケットから不思議な筒を取り出しブラットに渡した。
「今から城に行ってくるが。もし何かあったら、この道具を使え」
「これはなんだ?」
「使わないにこした事はねぇが。お前が、誰かに狙われないという、保証はねぇ。もし狙われた時、その筒のふたを開けろ」
ブラットは頷いた。
「分かった。ふたを開ければいいんだよな」
その筒をポケットにしまった。
それを確認するとガルドは、
「ああ、じゃ俺は行ってくる」
そう言い部屋から出て行った。
ブラットは、ガルドが部屋から出て行くのを見届けた後、
「それにしても、俺ってかなり、信用されてないよなぁ〜。まぁ、実際そうなんだけどね。ははは……」
ブラットは苦笑しながら、また準備を始めた。