2話・ブラット指名手配される
その頃シェイナルズ城では、実験が失敗し死んだはずのブラットが光と共に蘇ったことで大騒ぎになっていた。
この国の皇帝マグド=R=シェイナルズは、それを聞き真意を確かめるためにブラットを拉致するよう手配する。
ここは、城と隣接した場所にある傭兵ギルド。そして選りすぐりの強者がそのことを聞きつけ、懸賞金欲しさに集まって来ている。
その中にフリック=マグナとサアヤ=ワーズがいた。二人はこの国で唯一魔法を使わないにも拘らず、剣と銃のみで傭兵ギルドの依頼をこなしている。
サアヤとフリックは魔法を使うこともできるのだが、理由がありそのことを隠していた。
ギルド内の酒場でフリックとサアヤが話をしている。
「……なぁ、サアヤ。信じられるか?」
「死者が蘇ったという話か」
「どうも納得いかねぇ。もしそれが本当なら、神が関わっている気がする」
酔っているがフリックは真剣な表情で遠くに視線を向けていた。
「もしそうだとしたら。表向きこの件に関わるのは、まずいと思うんだが」
「そうだな。この件からは、手を引いて様子をみた方が懸命かもしれない」
「それなら、これからどうする?」
そう言いながらサアヤは難しい表情になる。
「当面は、そのブラットとか言うヤツの様子をみる。本当に神と関わっているのか、確認してから動いた方がいいだろう」
「そうだな。じゃあそろそろ、その村に行ってブラットの様子をみに行くか」
「ちょっと待て! まだ酒が残ってる」
フリックがそう言うとサアヤは呆れた顔になった。
「お前なぁ。飲むのはいいが、ほどほどにしないと仕事にならないぞ」
「そう簡単に、俺は酒にのまれん。とりあえずサアヤ。あと一杯だけでいいからなぁ」
「フリックっ、それで五杯目だぞ! いい加減にしないと、剣を振るうこともできなくなるではないか‼︎」
そう言いサアヤは、バンッとテーブルを叩きフリックをジト目でみる。
「ん〜、仕方ない。勿体ないが残すか」
「ふぅ……じゃあそろそろ、ここを出よう。もしそのブラットが、神が選んだヤツなら会う必要がある」
そしてその後フリックとサアヤは、酒場の外に出ると城下町を抜けブラットの住むディクス村へと向かったのだった。