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気がつくと少女がバイザーを差し出していた。
そのバイザーを受け取り
「君はいったい?」
そんな僕の手を取り彼女はトイレの扉を開いた。
『未来』
彼女の心の声を聞いた気がした。
同時に横から彼女の肩に向かい影が走った。
リスさながらの
僕は彼女の手に引かれるまま、
トイレから連れ出されていた。
その瞬間、
頭に
だが予想に反して、
それどころか車内は
人の気配がしない。
僕は思わず
「人がいない」
それに答える様に少女は
その指し示した先には見知らぬ風景が流れていた。
波の様に打ち
いつの間にか列車は、空中に
透明なチューブの中を流れる様に進んでいた。
透明ガラス
宙を
そこから見下ろす都市は
「これが未来?
いや
信実なのか?」
『真実の未来。真実の歴史』
少女がその考えを
「手品じゃないんだ」
思わずそう
『現実世界』
少女は短くそう答えた。
しばらく
ふとある
「そう言えば、
僕が乗ってたのは地下鉄じゃなかったけ?
それに昼間だった
真っ赤に焼けた
『こちらの世界も今は昼間』
「この世界の空は青くないんだ?」
『空が青いと決めたのは君達』
まるでおとぎ話を聞いてる様だ。
『私にとっては君達の世界の方がおとぎ話』