閉鎖都市

少女は子供に説明する様(よう)に、
僕の理解が追い付くのを待って静かに語った。

「限定的(げんていてき)に限(かぎ)られた空間に造られた並行世界(へいこうせかい)」

それを聞いて自然に疑問(ぎもん)が口から出ていた。

「その境界線(きょうかいせん)から出る事は出来ない？」

「本来ならね」

「それって僕達は既(すで)に・・・　」

その時ある言葉が脳裏(のうり)を過《よぎ》った。

不法入国者(アウトサイダー)。

それは僕の住む世界のタブー。

僕の育った世界は一種の閉鎖状態にあり、
外界との交流は許されない。

それが僕の住む世界。

不法入国者は徹底的(てっていてき)に取り締(し)まられ排除(はいじょ)される。

高い壁で覆(おお)われ外界と隔離(かくり)された世界。

いつからなのか、
僕が産まれた時には既(すで)に都市は
閉鎖(へいさ)されていた。

その訳(わけ)はアッパーミドルの僕には解(わか)らない。

僕は外の世界を全(まった)く知らないのだ。