雑事
指導の方は順調にいっている。今回は管理者の担当が一つだけなので、他の世界の様子を見ながら足並みを少しは揃えられるように調節していく。
その傍らで、管理者は自身が創造した世界と他の世界をどうやって繋げるかを改めて思案していた。
場所を教えて管理者達に自主的に来させてもいいが、それでは僅かだが時間も手間掛かる。それだと移動が面倒になりかねない。
管理者が創造した世界と創造主が創造した世界を何かしらの方法で直接繋げてしまってもいいのだが、今後管理者が増えていく事を思えば、それでは場の密度が高くなりすぎて逆に疲れてしまうだろう。
やはり今後全体の数が増えたならば、招待する数を制限した方がいいだろう。管理者達を招く区画を今以上に拡張するつもりはないのだから。
だが、意見交換の場として機能させるには、ある程度自由に行き来可能な方がいいだろう。
行き来可能なのは新人だけでは駄目だが、意見出来そうな先輩といっても数が多い。とりあえず、指導期間が終わった管理者のみというのは条件の一つとしておこう。指導する方もされる方も指導期間はそのまま指導に専念してほしいところ。
管理者は少し思案してみるが、制限を設けるのはある程度管理者の数が揃ってからになるだろう。現状では、何千何億と管理者達が詰めかけて来ても問題ないのだから。それだけ余裕を持って区画は創ってある。
それでも早めに考えておいた方がいいので、頭の片隅にでも留めておこう。現状では、定めた人数までの先着順で、空きが出来れば入る事が出来るという風に考えている。だがこれでは、もし急に助けが必要になった時に対応出来なくなるかもしれない。
そこまで考えたところで、そもそもそれ程利用者が来るのかという疑問もあった。まぁ、それならそれでいいのだが。
後は、もしもの為に相談窓口でも設けるというのもいいかもしれない。その辺りも今すぐ必要な訳ではないが、考えておくのは必要だろう。
とりあえず、現在指導を終えた世界には、先行して行き来可能にしておいてもいいか。そう思った管理者は、様子を見ながら各管理者達に相談することにした。
そこまで行けば必要そうなものは、その区画の補佐だろうか。管理は管理者が出来るとはいえ、大量の管理者が利用する事になった場合は、細かな気配りまでは手が回らなくなる。なので、やはり管理補佐は必要そうだと感じた。
その辺りの準備は、区画の方を管理している管理者が行うだろう。何せ管理者は本体も分身も全てが記憶を共有しているので、こうして考えている事もしっかりと伝わっている。
それを踏まえて調整しているだろう。それに、あの世界はまだペットが二匹居るだけで他には環境を整えた程度なので、あまり仕事が無い。新しいペットも兆候はあれどまだ見つかっていないので、当分増える事はないだろう。
指導の方も順調で、そろそろ世界が安定する頃合いだ。他の世界も不備はほとんど無く、本体の方は補佐が優秀なので問題ない。それどころか、補佐が管理に必要だと思った補佐を自身で創造しているので、更にやる事が無くなっていた。
のんびりとした時間が流れているが、そろそろ次の要請が来る頃だ。指導できる人数は十分揃ってきたが、今度は一気に増えすぎてその辺りの調整も行わなければならない。
今後この調子で増えていくと、何処かで後進への指導を経験しない管理者も出てくるだろう。それでも問題はないが、経験としてその辺りの対策も考えておかなければならないかもなと、管理者は少し思った。