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第三話 建設ラッシュ?


『マスター。パソコンの設定が終了しました』

 小型パソコンのスピーカーからマルスがヤスに設定が終了したことが告げられた。
 サブディスプレイは4分割されて表示されている。左上がマルス。右上がエミリア。下の二ヶ所がディアナの状態が表示されるようだ。ディアナが制御している車やバイクの状態が表示されるようになる。今はまだトラクターとFITとモンキーだけが表示されている状態だ。

 メインのパソコンにはエミリアの機能が使える状態になっているようだ。
 神殿の監視機能があり、広場や魔の森の状況を含めて確認できるようになっている。好きな場所を指定する事でディスプレイに表示されるようだ。

「マルス。リビングやノートパソコンの機能はどうなっている?」

『リビングは、小型パソコンと同じになっています。ノートパソコンはメインパソコンと同じになっています。ただし、ノートパソコンには神殿内部の階層を保存する機能は有りません』

「階層の保存?」

『はい』

「どんな機能だ?」

『神殿の地下に広がる階層は、マスターが自由に広げたり作ったりできます。それらの階層を保存しておくことで、新たに作る階層の基礎にする事が可能です。また保存した階層を使って階層の入れ替えを行う事ができます』

「例えば、今地下2階は工房としているよな?地下3階から迷宮っぽくしているけど、間に1階層増やして、その階層を鈴鹿サーキットの様にしたり、富士スピートウェイを作ったり、モナコの街並みを再現したり、ブラジルのインテルラゴス・サーキットを再現する事もできるのか?」

『マスターが記憶しているのでしたら可能です。広さも自動調整されます』

「へぇ便利だな。やってみるか・・・。マルス。地下3階。地下4階。地下5階を新規に作成。高さは500m確保。広さはひとまず地下2階と同じ広さにしてくれ、それから地下1階から降りるスロープを設置。地下2階からは6階に行くように変更。今までの地下3階が7階。地下4階が地下9階。地下5階が地下11階とし新規に6階と8階と10階を作る。魔物が湧き出す場所として利用する。階段前にボス部屋を配置。ボスはゴーレムを配置」

『了。新しく作成する、6階。8階。10階の構成は?ボス部屋に配置するゴーレムの操作は?』

「6階は草原でステージを作成。広さは魔の森と同じ。森や泉を配置する。8階と10階は5階の雰囲気を踏襲する。複雑にならない程度に道を作ってくれ内容は任せる」

『了。自動作成機能を使います』

「ゴーレムの操作はマルスが担当。セバスの眷属に操作を担当させるのは無理だよな?」

『個体名セバス・セバスチャンの眷属に操作を担当させる事はできます。神殿最奥部に常駐する必要があります』

「わかった。ひとまずマルスが操作してくれ、対応は今後変更していこう」

『了。領域の確保及び魔物の配置を行います』

「頼む」

『地下3階。地下4階。地下5階は領域だけ確保。マスターと個体名セバス・セバスチャンと個体名ツバキ以外の侵入を拒絶』

「わかった。進めてくれ、俺は広場の整備を行う」

『了』

 ヤスはパソコンを操作して広場の配置を行うことにした。
 マルスがヤスのために広場を正確に表現している地図をパソコンの中に作成していた。神殿の領域全てを網羅しているので、やろうと考えれば魔の森の木々を全部なくしてしまう事もできるのだが、ヤスは広場と右側の山の斜面以外はそのままにしておこうと考えている。自然は大事という考えではなく面倒な事になってしまうのを避けるためだ。ユーラットでは魔の森は資源として考えているので肉の供給源として狩りをしているのだ。

 ヤスは自分で設計した通りに道を配置する。残っている討伐ポイントも表示されていて、なにかを配置するとポイントが減っていく仕組みになっている。
 確定を行うとポイントが消費され交換した物が配置されるのだ。

 配置する物もある程度はカスタイズができるようなので、リスト中に有った家や宿屋のトイレを全てヤスが使っていた物に変更した。それだけで建物の価格が13ー20万ポイントほど高くなってしまったが必要経費だろうと考える事にした。

 目印になるように設計した場所に道を配置した。設計したときよりも太くした中央分離帯を作ったからだ。信号を作っても良かったが説明が難しいために道路を壁で覆う事にした。右側と左側の往来は、地下トンネルを作る事にした。神殿の権能で設置できるので安上がりだ。

 ヤスはポイントを見ながら建物を配置していく家だけではなく街路樹や地下通路の入り口も設置している。まずは約束してしまったリーゼの家だ。家10カスタマイズを配置した。風呂を大きめにしてトイレを変更しただけだが十分だろうと考えていた。セバスたちの家もリーゼの隣に作る。裏は広めの空き地(同じサイズの家が3軒建てられる程度の広さ)にしておいた。

(そうだ!馬車の保管場所!)

 ヤスはこの世界が馬車を使うことを思い出した。
 それに、門番を作る必要もある。

(ラナかアフネスに相談だけど、俺が使っている駐車スペースを馬車置き場にさせてもらおう。そこまでバスで迎えに行けばいいよな?)

 相談しようと思いながらヤスはもうユーラットの近くにある広場の拡張を行っている。

「マルス。ユーラットの入り口から裏口の駐車スペースまで石壁を伸ばせるか?」

『可能です』

「セバスに担当させてくれ、石壁ができたら駐車スペースに門を作る事にする。検閲とか必要だろう?」

『かしこまりました』

「門番と一緒に審査を行う者も必要になるか?」

『個体名セバス・セバスチャンの眷属に担当させます』

「無理はさせるなよ?難しければ、ラナやミーシャやアフネスに担当させるからな」

『了』

(広場のユーラットに降りる場所にも門を作るか?最終防衛ラインは必要だろう。城壁も作っておこう。ポイントで作っても大丈夫そうだな)

 ヤスは広場を囲う様に高さ10mの城壁を作成した。神殿の結界が張られているために城壁は必要ないのだがヤスは結界の事をすっかり忘れていて、安全確保の為ならしょうがないと思って城壁を作成したのだ。抑止力という意味では必要だったのだが、ここまで攻め上がる事ができる軍隊が存在しているのか甚だ疑問だ。

 脱線しながらリーゼの家とセバスたちの家を作成した。
 次は孤児院をほぼデフォルトで設置した。ギルドを設置するのだが、ギルドと孤児院の間に浴場を配置する事にした。安い金額で利用できる浴場として広場に数カ所設置する予定にしている。

 ギルドはデフォルトで設置を行った。
 ギルド職員の宿泊施設?も必要になってくると思って狭めの家を数軒建てる事にした。寮や宿屋に使えるように作った建物を1棟建てておく。これでギルド関係は大丈夫だろう。倉庫も3つ設置した。冒険者たちが訓練する為の場所も屋外と屋内の両方を設置した。

 次は学校の設置だが、時間がかかった。
 ヤスの記憶にある高校を思い浮かべながら作ったのだ。設計した通りに作っていく。かなりの討伐ポイントを使ったが満足できる作りになった。思った以上に広く作ってしまったが、孤児以外の子供も預かることを考えればこのくらいは必要だと思う事にした。

 教習所も設定した通りに作った。しばらくは使う予定は無いが作っておいて困るものではない。誰かに運転を覚えさせれば、ユーラットから神殿までの間を小型バスで結ぶことも可能だ。

 ここまで作成して半分以上のポイントを使った事になるのだがヤスには後悔はなかった。すぐさま配置を行う事にした。

 画面がロックされて、配置終了までの時間が表示された。

 ”27時間49分”が、ヤスが今まで作っていた広場の配置にかかる時間だ。
 配置予定になっている場所だけがロック状態になりそれ以外は配置する事が可能な状態になっている。

 次にヤスはカート10台と小型バスを交換した。小型バスはユーラットと神殿の往来を行わせるためだ。ディアナの自動操縦が可能なら自動操縦させるが無理ならセバスの眷属に覚えさせる事を考えていた。
 ツバキに渡す討伐ポイントをセバスと同じ1億として確保して、自分のトレーラや遊びの車の為に2億を確保した。
 日々の生活の為に1億ポイントと計算して4億ポイントが残るようになるまで家を配置した。移住してくる者たちの住処として使うためだ。
 宿として使える建物は中央の通りに5店舗作成した。足りなければ自分たちで作ってもらおうと考えていた。家も同じだ。

 こうして、神殿の広場は配置が完了すれば、一気に街としての機能を持った場所になってしまう。
 近い将来、城壁に守られた神殿街として移住希望者が殺到する事になる。今このときにはヤスはそんな事は考えていなかった。

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