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二人の家康1

 多少の番狂わせがあったが勝者は東軍家康に上がった。だがここから徳川と豊臣の最後の戦いが始まるのだ。とくに高虎は小早川の謀反が遅れていたら大谷に首を取られていたかもしれない死闘だった。最後は狗達も高虎の周りで戦った。
 その結果四国の今治を任された。高虎も狗もそのまま大坂城に詰めた。予想通り家康は秀頼に仕える形から入ったが、すでに茶々が持つ兵力はない。ただ太閤の財宝だけが家康の大きな壁だ。だがこれからは武闘派も三成がおらなければ秀頼に集まる。だが茶々が寧々と対立が壁になっている。寧々を立てる家康の作戦がここでは光っている。
「久しぶりね?」
 いつの間にか狐が裸で布団の中に潜ってくる。
「出て来たのか?」
「心配だったのよ。少し報告することもある。薬草園も作り問屋も2か所作った。薬売りには12人を置いている。先月から今の隠れ家のさらに山奥に村を作った。もう山を越えると海が見える」
「どうしてそこまで?」
「家康も柳生も信じられないの。家康の時代に私達の生きる場所が見えないの」
「再びけものに戻るのか?」
「だがまだ戦いは続くわ。私は再び茶々の腰元になる。すでに入れているくノ一と入れ替わることになっている。調べて見たけど胡蝶が完全に茶々を操っているわ」
「だが家康も焦っている。仕掛けてくるさ」
 戦いの後天下は実質西を治める秀頼と東を治める家康とに分かれた。関ヶ原の主力武闘派は今は服部が一番送られている監視対象になっている。その意味で高虎の役目も難しい。もちろん高虎にも服部が監視している。この中で外様として高虎は徳川の中で生きて行かなければならない。 
「今回5人を連れて来たわ。その中に柳生を抜けた男がいる。狼と付けたわ」
「それは凄い厚遇だな?」
「剣を交えたら狗も危ないわよ」

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