生まれ故郷は人の手により滅ぼされた。
奇病に侵されたから、しょうがないことだと。
僕はたまたま病気にはなっていなかったのだと、その人は言う。
黒い何かが蠢く水晶に触れた時に、水晶は何の反応も示さなかったから。
だけど、僕のお母さんとお父さんは、僕の目の前で殺されてしまった。
奇病に侵されていたから、だからしょうがないことだと。
優しかったお父さんも、大好きだったお母さんも。
近所のお姉さんも、優し気なおばあちゃんも、いつも挨拶してくれるおじさんも。
全員殺されてしまった。
まだ七歳だった僕の心の中には、その光景がいつまでもいつまでも残っていて。
燻り続けた心の炎は消えることはなくって。
だから、僕は復讐を誓った。
絶対に許さない。
滅ぼされてしまった村の仇は、僕が討つ。
だから今は泣いて、助けられたことを笑って。
この手でお前達全員を殺すことを夢見て生きる。
暁の傭兵団、団長、ロンド・エルリック。
僕を助けてくれた殺人鬼は、そう名乗っていた。
だから僕は傭兵になる事を望む。
全てを壊す為に。
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