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蒲団を干そうとした細君を、私は怒鳴りながら突き飛ばし、それを両手で抱えこんだ。何ということをするのだ。芳子の残り香が消えてしまったらどうする。怒りに震え細君を睨む。細君は「ああ、やっぱり」という軽蔑の目だった。
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雨宮敬子は、認知症が出てきた母親の介護のために実家に居る。そして、小さいころの大好きだった母と映画に行ったときの夢をよく見る。瑠璃色あじさいのじゃのめ傘、くるくると回して歩いた雨の歩道……歌った歌、その記憶と占い師の言葉。敬子の気持ちは複雑に揺れていた。
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『ピンクの100円ライター』(『マッチ売りの少女』) / 山名美穂
大晦日。仕事帰りに同級生のコバヤシと再会した『クリタ』。社会人になった彼と公園で話をすることに。喫煙者の彼が使うのは、学生時代と同じピンク色の100円ライター。ライターがタバコに火をつけるたび、彼のブランド品や懐かしい思い出が浮かびあがる。でも最後にその灯りがふたりに見せたものは…。
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会社に勤めて八年。課長へと昇進した私についた、初めての部下は何と「林檎人間」だった。名前もない、言葉も喋れない、けれども営業はピカイチ。そんな彼は、真っ赤なボディにふにふにとした手を添えて、今日も意気揚々と出勤してくるのだった…
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「うれしいな。ぼく、桃太郎さんと同じ生まれ方をしたんだ」祖母は反応しない。「じゃあぼく、いつか鬼を退治に行くよ」祖母は反応しない。「そしてね、鬼を退治したら、お殿様から褒美を貰って、それをお祖母さんにあげるよ」祖母は反応しない。「それで、その、ぼくの入っていた桃はどうなったの」
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『窓辺の夫婦』(『錦絵から出てきた女の人』) / 草間小鳥子
都会で一人暮らしをはじめたぼくの部屋の窓に、夜になるとうつる女の影。姿は見えないのに、毎晩、毎晩、影だけが現れる。恋人には不気味がられ、いまいましく思っていたものの、影だけの彼女にぼくはすこしずつ心惹かれてゆく。そんなある日の夜ふけ過ぎ、誰かが部屋のドアを叩いた。
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ペットショップの昆虫コーナーに勤めるフリーター、カンナ。密かに小説を書き続ける彼女は、南米産の巨大蜘蛛と今日も働く。
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亡き皇后 定子の忘れ形見である媄子内親王がこの世を去った。悲嘆にくれる一条天皇のもとに、関白道長から不思議な倚子が届けられる。道長から送られた倚子は、陶器で作られ二人の女性が向かい合って形を作り出しているその奇妙な形をしていた。道長の文は、その奇妙な倚子の恐るべき由来を語りだす。
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世界征服を目論む柿の種が道端に落ちていた。そしてそれを拾った猿は柿の種から自らの特異さを知らされるが……
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街灯の真下で俯く男。こちらを見ている様子は無いが、俺を待ち構えているような気がしてならない。色の禿げてしまったカーキ色の汚いコートに身を包み、フードを目深に被って、死体かと疑うくらい微動だにしない。――刑事だろうか。俺は数秒だけ立ち止まって、そのまま歩くことに決めた。
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